生命保険の受取人とは?どのように決めるべき?保険金受取時の税金にも注意!

最終更新日:2021/09/09

生命保険では保険を契約する契約者と、保険をかけられる被保険者、そして保険金を受け取る受取人を指定する必要があります。保険の受取人に指定できる方には範囲があり、誰でも指定できるわけはありません。生命保険の受取人にはどのような人を指定できるのか。変更方法や注意点などについて詳しく解説していきます。

生命保険の受取人はだれを指定できる?

生命保険に加入する際には、保険の契約をする契約者と保険の対象となる被保険者、保険金を受け取る受取人を指定しなければなりません。
被保険者に万が一のことがあり亡くなってしまったとき、受取人が死亡保険金を受け取るので、被保険者と受取人は同一になることはありません。
受取人は保険金を誰に受け取って欲しいかによって決まってきますが、誰でも受取人に指定できるわけではありません。生命保険の受取人はどのような方を指定できるのか詳しく見ていきましょう。

受取人に指定できる範囲

死亡保険金の受取人に指定できるのは、被保険者本人から見て配偶者や子ども、親、兄弟などの2親等以内の親族となっている保険会社が多くなっています。

受取人に指定できる範囲
受取人に指定できる範囲

受取人の範囲が2親等以内の親族となっているのは、保険を利用した詐欺などの犯罪や不正を防止するためのモラルリスクが理由です。受取人の指定範囲を狭めることで不正を防止しているのです。

受取人は複数も可能

受取人には複数人を指定することも可能です。
例えば、親が複数人の子どもを指定するケースも多く見られます。複数人を受取人に指定する場合は、その受け取る割合を指定しなければなりません。また、死亡保険金の受取人を法定相続人とすることもできます。

受取人が他人(血縁者以外)の場合

2親等以内の親族以外が保険金の受取人になる場合のことを、「第三者受取人」と呼びます。
2親等以内親族が死別していたり、事実婚や同性パートナーなどの事情がある場合には第三者受取人を死亡保険金の受取人として指定することも可能です。それぞれのパターンについて見ていきましょう。

内縁関係・事実婚の場合

婚姻届を出さないけれど、婚姻に相当するような形で共同生活を送っている男女を内縁関係や事実婚と呼びます。内縁関係と事実婚は婚姻届けを出していないだけで、法律上の違いはありません。内縁関係や事実婚の状態にある人を保険の受取人として認める保険会社も多くあります。

ただし、内縁関係や事実婚であることを確認するためには審査が必要です。
住民票で同じ世帯であることだったり、住民票上で事実婚相手を「夫(未届)」「妻(未届)」となっていることを証明する必要がありますので、保険会社に証明できるものを準備しておきましょう。

同性パートナーの場合

同性のパートナーの場合、一定の条件のもとに保険金受取人になれます。
ただし、自治体などが発行する「パートナーシップ証明書」が必要な保険会社や、同居している期間や生計をともにしているかなどの条件が保険会社によってあります。詳しくは保険会社に確認行いましょう。

交際相手の場合

交際相手や婚約者などの場合には保険金の受取人に指定するのは難しいケースが多いようです。
内縁関係や事実婚など、生計をともにしているとは言いづらいのが理由です。
交際しているという段階から、内縁関係や事実婚など生計を一緒にしている状態にならなければ保険金の受取人に指定できないと覚えておきましょう。

結婚していない相手との間の子どもの場合

結婚していない相手との間に生まれた子どもを保険金の受取人に指定できるかというと、子どもを認知しているか否かによって変わってきます。
認知とは戸籍上で結婚をしていない男女間に生まれた子どもを自分の子どもであると法的に認めること。
認知されている場合には非嫡出子ではあっても、戸籍上の子どもになるので受取人になれます。

認知していない場合には法律上は赤の他人になってしまうので、受取人になることは難しいです。

お世話になった第3者の場合

命の恩人や病気や怪我をした際に、看護や介護をしてくれた知人など、お世話になった人に保険金を受け取って欲しいと考えるケースもあるでしょう。
お世話になった2親等以内の親族以外の第三者を受取人に指定することは難しいです。
保険金ではなく、遺言書に現金を認めたり、生命保険信託を利用して渡すというケースもできます。
ただし、生命保険信託を扱っている保険会社の数が少なかったり、信託を利用する契約時や信託期間中にコストが掛かったりするデメリットもあることは覚えておきましょう。

生命保険の受取人の変更方法

生命保険の死亡保険金受取人は手続きを行うと変更ができますが、受取人が亡くなっていたりすると手続きが煩雑になってしまいます。生命保険の受取人の変更方法について見ていきましょう。

受取人の変更には手続きが必要

契約者は保険をかけた被保険者が亡くなる前であれば、支払事由の発生前なので、被保険者の同意を受けた上で死亡保険金の受取人を変更することができます。
受取人変更を行う場合には、保険会社に「保険金受取人変更届」などに必要事項を書いて提出しましょう。

受取人が死亡してしまった場合は?

指定していた保険金の受取人が万が一亡くなってしまった場合には、速やかに新しい受取人へ変更することが必要です。その場合も保険会社に「保険金受取人変更届」を提出しましょう。
もしも、変更手続きの前に被保険者が亡くなってしまった場合には、法定相続人が死亡保険金の受取人になります。法定相続人が2人以上になる場合には、法定相続割合に応じて保険金を受け取る形になります。

受取人を他人に変更したい時

契約時に指定するときと同様に変更の場合でも原則2親等以内の親族が対象ですが、保険会社によっては第三者の他人を指定することができます。
受取人を他人に変更したい場合にも、「保険金受取人変更届」を書き、保険金受取人に指定したい方が生計を一緒にしていることなどを証明しましょう。

離婚したときはどうなる?

これまで受取人について様々なケースを見てきましたが、結婚している場合には、配偶者を受取人にすることが一般的でしょう。離婚することとなった場合、保険金の受け取りはどうなるのでしょうか?

実は離婚することになっても、被保険者に万が一のことがあった場合、元配偶者は保険金を受け取ることができます。ただし、受取人となる側が先に死亡している場合には、保険金は受取人の相続人のもとへ渡ることとなります。例えば、夫の死亡保険金の受取人を妻としており、その後離婚して先に元妻が死亡していた場合、元夫の死亡保険金は元妻の相続人へ渡ります。この夫婦の間に子供がいればその子へ、いなければ元妻の親や兄弟等へ渡ります。

このように、離婚の際に受取人を変更しなければ、保険金の受け取りが複雑になってしまいます。離婚するとなった場合には、名義変更や保険の見直し等をきちんとしておくようにしましょう。

受取人によって、かかる税金が変わる

生命保険の保険金を受け取る場合には、保険契約者と被保険者、受取人の関係によってかかる税金が変わってきます。それぞれのパターンに分けてどのような税金がかかるのかを見ていきましょう。

「契約者」「被保険者」「受取人」とは?

まず「契約者」「被保険者」「受取人」は何を指しているのでしょうか?

契約者保険会社と保険契約を結び、契約内容の変更請求権など契約上の権利がある一方で保険料支払いなどの義務を有する人
被保険者保険の対象となる人。死亡保険では被保険者が死亡すると死亡保険金が保険会社から受取人へ支払われます。
受取人死亡保険金などを保険会社から受け取る人。(被保険者が死亡保険金の受取人になることはできません。)

「契約者」は「保険会社と保険契約を結び、契約内容の変更請求権など契約上の権利がある一方で保険料支払いなどの義務を有する人」です。
「被保険者」とは、「保険の対象となる人」です。死亡保険では被保険者が死亡すると死亡保険金が保険会社から受取人へ支払われます。
「受取人」は「死亡保険金などを保険会社から受け取る人」です。被保険者が死亡保険金の受取人になることはできません。

相続税がかかるケース

相続税になる場合は、契約者と被保険者が同じで受取人が異なる場合です。

相続税がかかる場合の計算式
相続税がかかる場合の計算式

例えば、夫が契約者で被保険者も夫で、受取人が妻だった場合などです。
相続税には法定相続人1人あたり、500万円の非課税限度枠が設定されており、それを超えた分に関しては相続税が課されます。

相続税がかかる場合の計算式

相続税になる場合の計算式は法定相続人1人あたりに対して500万円と設定されているので、500万円かける法定相続人の人数によって計算ができます。

例えば、夫が契約者で被保険者も夫で、受取人を妻や子ども2人していた場合で死亡保険金が3000万円だった場合、法定相続人は3人なので500万円×3人の1500万円までは非課税です。残りの1500万円に対して相続税が課されます。

相続財産全体にかかる控除

相続税には法定相続人1人あたり500万円の控除枠以外にも、基礎控除3000万円が設定されています。
また、相続人が配偶者の場合には税額軽減があり、相続した財産が法定相続分までやそれ以上であっても、1.6億円までならば非課税となります。
死亡保険金以外にも税額控除があるのでしっかりと確認をしましょう。

贈与税がかかるケース

契約者と被保険者、受取人がすべて異なる場合には贈与税の課税対象になります。

贈与税がかかる場合の計算式
贈与税がかかる場合の計算式

例えば、契約者が夫で、被保険者が妻、受取人が子どもだった場合には贈与税の対象です。贈与税には110万円の基礎控除が設定されており、受け取った保険金が110万円以上になったり、保険金以外にも受け取った財産があれば合算して計算されて贈与税がかかります。

所得税がかかるケース

契約者が保険の受取人になる場合には所得税がかかります。例えば、契約者が夫で被保険者が妻、受取人が契約者である夫である場合などです。この場合には、一時所得として所得税の課税対象になるのです。

所得税がかかる場合の計算式
所得税がかかる場合の計算式

その場合には、死亡保険金ひく払った保険料累計、から特別控除額50万円を引いたものが、一時所得の金額 総所得金額に算入する額となり、一時所得の金額に対して1/2を書けたものが課税対象になります。

例えば、2000万円の死亡保険金で、払込保険料が400万円だった場合、特別控除額の50万円と払込込保険料を引きます。一時所得が1550万円になるので、その半分の金額725万が課税対象となるのです。

満期保険金・解約返戻金を受け取る場合

満期保険金解約返戻金を受け取る場合の課税も、契約者や受取人の関係によって税金は変わってきます。
保険料を負担した契約者と、満期保険金や解約返戻金を受け取る方が同じならば所得税の対象になり、この所得税の特別控除額は50万円なので、満期保険金や解約返戻金の金額が支払った保険料よりも50万円以上増えていなければ非課税となります。

保険料を負担していた人以外が満期保険金や解約返戻金を受け取る場合には贈与税の対象になり、その場合、それ以外に受け取った財産と合わせて110万円までの基礎控除額が設定されています。

受取人にまつわる注意点

生命保険の保険金受取にはいくつか注意点があります。それぞれの注意点について見ていきましょう。

受取人を変更しないと思わぬ人に保険金が渡ってしまうことも

先ほどの「離婚したときはどうなる?」の項で紹介したように、万が一保険金の受取人が亡くなってしまった場合、新しく保険金の受取人を指定しないと元の受取人の法定相続人が新たな受取人になっていまいます。
離婚していない場合でも、例えば、夫が契約者であり被保険者で、妻を受取人にしていた場合、先に受取人である妻が亡くなってしまうと妻の法定相続人である親や親族が受取人となってしまいます。
夫の法定相続人を受取人にしたい場合には、想定していない人に保険金が渡ってしまう可能性があるので、保険金の受取人が誰になっているのかはしっかりと確認をしましょう。

他人を受取人にすると税金が重くなる

保険金の受取人を法定相続人以外の他人にしていた場合には、税額控除制度が使えず税金が重くなってしまうこともあります。
受取人が1親等以内の血族および、配偶者以外の人になっていた場合には相続税が2割加算になる法律もあります。受取人を他人にしていた場合には税金負担が重くなることはしっかり認識しておきましょう。

未成年の子どもが受取人の場合は手続きが面倒

受取人を未成年の子どもに指定していると手続きが少々面倒です。
受取人を未成年の子どもに設定することはできますが、未成年の内に受け取る場合には親権者もしくは未成年後見人の手続きが必要です。
未成年後見人は裁判所の選任が必要なので、手続きに時間がかかってしまいますので、未成年の子どもを受取人にする場合には注意をしましょう。

受取人が認知症になってしまった場合は?

認知症は近年増加傾向で、超高齢社会の日本では身近な病気の一つでもあります。では受取人が認知症になってしまった場合には、保険金の受け取りはどうなるのでしょうか?

そもそも保険金は受取人固有の財産ですので、原則として受取人以外の人が保険金を請求することはできません。しかし受取人が認知症になってしまった場合、本人が保険金を請求できないなど、不都合が生じる可能性があります。このときの対応策としては、通常1つしかありません。「成年後見制度」です。成年後見制度とは、「認知症、知的障害、精神障害などにより物事を判断する能力が十分でない方について、本人の権利を守る援助者(「成年後見人」等)を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度」です(厚労省より)。この制度を活用すると、成年後見人が被後見人の財産を管理できるようになるので、成年後見人が被後見人を代理して保険金を請求することができます。基本的に、受取人が認知症にかかってしまった場合の選択肢としては、この成年後見制度の活用しかありません。

ただ、前述のように認知症は近年より身近な病気となっているので、事前の準備が最も大事です。
事前にとれる対策としては以下の3つがあります。

  • 受取人の変更
  • 生命保険信託の活用
  • 指定代理請求特約の利用

まず、そもそも認知症は突発的な病気ではないので、初期の段階で受取人を変更してしまう、というのことも可能でしょう。
また、生命保険信託の活用も選択肢のひとつになり得ます。生命保険信託とは、信託銀行などを保険金の受取人として指定して代わりに運用・管理してもらう、という信託商品のひとつです。本来保険金を受け取るべき人が認知症になってしまっても、生命保険信託によって、その人に不都合が生じないよう、事前に保険金の運用方法を決めておくことが可能です。ただその一方で、契約などに大きなコストがかかる場合が多いです。
被保険者と受取人が同じ場合には、事前に指定代理請求特約を付加することもできます。この特約によると、受取人が認知症などで保険金を請求できない場合に、その家族など事前に決められた指定代理請求人が代わりに保険金を請求することができます。

以上、受取人が認知症になってしまった場合の対策について、いくつか挙げてきました。成年後見制度や、生命保険信託、指定代理請求特約など、それぞれのメリット・デメリットや利用方法など事前によく調べておくとともに、受取人自体の見直しも適宜欠かさずしておくようにしましょう。

受取人は勝手に変更される?

先ほど、「保険金は受取人固有の財産」と述べました。では、自分が保険金の受取人として指定されているなら、勝手に変更されることはないのでしょうか?保険金を必ず受け取れるのでしょうか?

実は、受取人を「勝手に」変更することは可能です。生命保険の受取人は、契約者が自由に決定することができ、かつ変更の際にも受取人の同意は必要ありません。そのため、「勝手に=もとの受取人に知らせず」保険金受取人を変更することは可能なのです。ただし契約者本人以外が、契約者に無断で受取人を変更することはできません。

保険金の受け取りにおいては、しばしばこのようなトラブルが発生してしまいます。しっかりと、契約者・被保険者・受取人で話し合いをしておくようにしましょう。

まとめ

被保険者が万が一のことがあった場合に保険金を受け取る受取人。
受取人は誰でも指定できるわけではなく、2親等以内の親族に指定するのが一般的ですが、生計を同一にしていれば第三者も指定できます。
受取人の範囲や税金のかかり方などをしっかり確認した上で、保険を活用しましょう。

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