高額療養費制度があれば医療保険は必要ない?高い医療費が必要になったときに役に立つ公的制度を解説!

最終更新日:2021/11/24

生命保険の契約を検討する際に、「解約返戻金」という言葉を見たり聞いたりすることがあるでしょう。その内容をきちんと理解して利用すれば、保障と資産形成を兼ねることができる便利な仕組みです。 今回は解約返戻金の基礎知識とともに、なるべく損せずたくさんの金額を受け取ることができるポイントを解説します。

医療費が高額になるときに使える公的制度

医療費は病院に受診したとき、薬局で薬を処方されたときに発生する費用です。日本では国民皆保険制度によって、健康保険や国民健康保険への加入が義務付けられています。そのため、医療費は全額負担ではなく、年齢や所得に応じて2割・3割・1割と自己負担額が決まっています。

しかし、健康保険や国民健康保険に加入していても、治療内容によっては自己負担額が高額になってしまう可能性もあります。そのようなときに活用できる公的医療保険制度が以下の4種類です。

▼公的医療保険制度
・高額療養費制度
・限度額適用認定証
・高額療養費貸付制度
・高額療養し受領委任払い制度

上記の制度は医療費に関する支払いに利用できますが、申請方法や対象などが異なります。
詳しくは次項からの内容を参考にしてください。

高額療養費制度とは?

高額療養費制度とは、高額な医療費を払ったときに払い戻しを受けられる制度です。「同じ月の1日から月末まで」にかかった医療費の合計が、所定の上限額を超えた場合に対象となります。全額が払い戻されるわけではないことを覚えておきましょう。

医療費の払い戻しを受けるには、医療機関から診療報酬明細書が提出されてから審査を経て、認定される必要があります。払い戻しされるまでの期間は3か月以上が目安です。自身が対象になるかどうか判断できないときは、医療機関や加入している保険の保険者(運営主体)に確認しましょう。

対象となる費用

高額療養費制度の対象になる医療費は、負担額(3割・2割・1割のいずれか)の上限を超えた分です。そのため、先進医療・美容整形・不妊治療など自由診療にかかった費用や、入院時の部屋代・食事代などは含まれません。

同じ月内であれば、別々の医療機関を受診した費用を合算することも可能です。「受診者ひとりの自己負担額が2万1,000円/月 以上」であれば、医科・歯科・入院・外来それぞれの分類ごとに医療費の合算が可能です。ただし、69歳以下の場合、医科・歯科・入院・外来は別扱いになります。

なお、治療する病気によって自己負担限度額は変わりません。ただし、血友病・人工透析・HIVのように非常に高額な治療を長期間継続しなければない場合については、原則として負担の上限は月額1万円までとなる特例が設けられています。

自己負担限度額

自己負担となる限度額は、年齢や年間所得によって分類されています。詳しくは下記の表を参考にしてください。また、69歳以下の方は限度額の変更はありませんが、70歳以上の方の上限額は平成29年8月から少しずつ見直されています。

【70歳以上 平成30年8月診療分から】

適用区分 外来(個人) 1カ月の上限額/世帯
①現役並みの所得 現役並みⅢ: 年収約1,160万円~ または標準報酬月額83万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割 252,600円+(総医療費-842,000)×1% [多数該当(※):140,100円]
現役並みⅡ: 年収約770~約1,160万円 または標準報酬月額53万円以上で課税所得380万円以上 167,400円+(総医療費-558,000)×1% [多数該当:93,000円]
現役並みⅠ: 年収約370~約770万円 または標準報酬月額28万円以上で課税所得145万円以上 80,100円+(総医療費-267,000)×1%   [多数該当:44,400円]
② 一般所得者 (①、③以外) 年収156~約370万円 または標準報酬月額26万円以下/課税所得145万円未満など 18,000円 (144,000円/年) 57,600円
③ 住民税非課税 Ⅱ 住民税非課税世帯: 被保険者が市区町村民税の非課税者など 8,000円 24,600円
Ⅰ 住民税非課税世帯: 世帯収入から必要経費・控除額を引いた後の所得がない世帯 15,000円

※多数該当とは、12か月の間に高額療養費の支給が4回以上だったとき、4回目以降は自己負担限度額が引き下がる制度です。
【69歳以下の方の上限額】

適用区分 1カ月の上限額/世帯
1 年収約1,160万円~ 健保:標準報酬月額83万円以上 国保:旧ただし書き所得901万円超 252,600円+(総医療費-842,000)×1%
2 年収約770~約2,160万円 健保:標準報酬月額53万~79万円 国保:旧ただし書き所得600万~901万円 167,400円+(総医療費-558,000)×1%
3 年収約370~約770万円 健保:標準報酬月額28万~50万円 国保:旧ただし書き所得210万~600万円 80,100円+(総医療費-267,000)×1%   [多数該当:44,400円]
4 ~年収約370万円 健保:標準報酬月額26万円以下 国保:旧ただし書き所得210万円以下 57,600円
5 Ⅱ 住民税非課税者 35,400円

申請方法

高額療養費制度の申請方法を紹介します。申請先は加入している保険機関によって変わるため注意しましょう。

協会けんぽの場合(健康保険)
協会けんぽの公式ホームページから健康保険高額療養費支給申請書をダウンロードして必要事項を記入します。記入した申請書と添付書類を加入している協会けんぽの担当支部に申請しましょう。担当支部は保険証に記載されています。

国民健康保険の場合
自己負担限度額を超えていた場合、超えた月から数か月すると申請書が郵送されるため、自分から申請書類を取り寄せる必要はありません。申請書に記入し、添付書類と一緒に提出すると手続きは完了です。郵送されない行政であれば、行政の窓口(市役所または区役所)で手続きをします。このとき、必要な持ち物を事前に確認しておきましょう。

協会けんぽの申請は、書類の記入・郵送が必要です。一方、国保の場合は、行政によって申請書の郵送有無が異なります。電話や行政のホームページで手順を確認することが重要です。

添付書類については、医療費を支払ったときの請求書・領収書だけではなく、出来事によって必要な添付書類が異なります。たとえば、協会けんぽの場合、ケガ(負傷)は「負傷原因届」、被保険者が死亡し相続人が請求する場合は「被保険者との続柄が分かる戸籍謄本など」が必要です。

なお、高額療養費制度の支給対象となる期間は「消滅時効(受診した翌月の初日から2年間)」と決まっています。2年間を過ぎると対象外になるため忘れずに申請しましょう。

また、申請後には診療報酬明細書や申請書類の確認が必要なため、払い戻しされるまでに3か月以上かかるのが一般的です。医療費が高額であっても、ひとまず自己資金で立て替える必要があることを覚えておきましょう。

限度額適用認定証とは?

医療費が高額になることが予想されるときは「限度額適用認定証」を提出する方法があります。高額療養費制度の場合、一時的に大きな金額でも払います。限度額適用認定証を提出することで、保険医療機関ごとのひと月あたりの支払額が自己負担限度額までとなり、差額分を立て替える必要がありません。

ただし、医療機関と薬局が異なる場合や、入院した医療機関と外来の医療機関が異なる場合はそれぞれに提出しなければなりません。また、同じ月に入院と外来を受診したときは、高額療養費制度の申請が必要になることもあります。限度額適用認定証を医療機関の窓口で保険証と一緒に提出します。

申請方法

限度額適用認定証を活用する際は、申請が必要です。申請の流れは以下を参考にしてください。

協会けんぽの場合(健康保険)
①健康保険限度額適用認定申請書を記入し、協会けんぽに郵送
②協会けんぽから被保険者または被扶養者の所得区分を認定してから限度額適用認定証交付
③限度額適用認定証を医療機関に提出

協会けんぽに郵送して認定を受ける必要があります。交付されるまでに時間がかかるため、ゆとりをもって申請をしましょう。

国民健康保険の場合
①限度額適用認定申請書を記入し、各市区町村の行政窓口に郵送または直接持参する
②被保険者または被扶養者の所得区分を認定してから限度額適用認定証交付
③限度額適用認定証を医療機関に提出

限度額適用認定証は課税世帯が対象ですが、「限度額適用・標準負担額減額認定証」は非課税世帯が対象です。

ただし、70歳以上で課税所得が690万円以上の方は、手続きをする必要はありません。医療機関の受付時に「保険証と高齢受給者証」を提出すると、自己負担額までの支払いとなります。75歳以上の場合、1割負担の方が限度額適用・標準負担額減額認定証の対象となります。

【70歳未満の方、限度額適用認定証の対象となる方】
所得区分にかかわらず課税世帯すべての方

【70歳未満の方、限度額適用・標準負担額減額認定証発行の対象となる方】
住民税非課税世帯の方

【70歳以上75歳未満、限度額適用・標準負担額減額認定証発行の対象となる方】
・現役並みⅡ 課税所得380万円以上690万円未満の方
・現役並みⅠ 課税所得145万円以上380万円未満の方
・住民税非課税世帯の方

【75歳以上、限度額適用・標準負担額減額認定証発行の対象となる方】

負担額

課税状況

区分

自己負担限度額/月

外来(個人)

外来・入院

(世帯)

1割

課税所得145万円未満

一般

18,000円

(144,000円※2)

57,600円

(44,400円※3)

非課税※1

区分Ⅱ

8,000円

24,600円

区分Ⅰ

15,000円

※1:区分Ⅱの対象は「世帯全員が住民税非課税で区分Iに該当しない」
   区分Ⅰの対象は「住民税非課税世帯・世帯全員が年金収入80万円以下・その他の所得がない」   または「住民税非課税世帯で老齢福祉年金を受給している」
※2:毎年8月1日~翌年7月31日の期間で計算し計算期間の最終日(基準日)時点で、上記の表にある区   分のいずれかに該当し、外来の自己負担額を合計が144,000円を超えた場合に支給
※3:12か月の間に高額療養費の支給が4回以上だったとき4回目以降から適用される

高額療養費貸付制度とは?

高額療養費制度の申請をしても、一時的に高額な医療費を負担しなければいけません。もし、全額を支払うお金を準備できない、限度額適用認定証の申請が間に合わない場合は「高額療養費貸付制度」を活用しましょう。

この制度は「無利子」の貸付です。ただし、全額貸し付けではなく、政管健保は「8割」程度、組合健保と国保は「8割」または「9割」程度が貸し付けの対象となります。詳しくは各窓口に確認しましょう。

また、医療費の減額や、高額療養費が支給されず貸付金の清算ができない場合には、貸付金の返還が必要になります。

【申請窓口】
組合健保:健康保険被保険者証に記載されている保険者
政管健保:健康保険被保険者証に記載されている社会保険事務所
国保:行政の健康保険担当窓口
【提出書類】
①高額療養費支給申請書
②貸付金借用書
③請求書または領収書
④健康保険被保険者証
※①②は担当の申請窓口から取り寄せ
※③がない場合は、担当の申請窓口から「医療費請求書」を取り寄せ、医療機関の窓口で記載してもらい提出

高額療養費受領委任払い制度とは?

「高額療養費受領委任払い制度」とは、高額療養費貸付制度の代わりとなる制度です。高度療養費の自己負担限度額を超えた費用について、行政が直接医療機関に支払うことで、一次的な支払の負担を軽減できます。

ただし、支払い困難でない人は対象にならないケースもあるため、検討している方は行政の担当窓口に確認をしてください。

【対象】
各市町村の国保に加入していて、生活を維持していても高額な医療費を支払うことが困難な方
【申請方法】
行政の担当窓口で行います。
【提出物】
①国民健康保険被保険者証
②請求書または領収書

まとめ

必要な医療を受けても請求額に驚くことがあります。あまりにも高額で支払が困難な場合は、高額療養費制度や限度額適用認定証、高額療養費受領委任払い制度などを利用しましょう。支払いが心配になって必要な医療を諦めてはいけません。公的制度をバランスよく利用して必要な治療を受けることが大切です。

 

MoneyFreek編集部

Money Freek編集部では、生命保険、医療保険、がん保険などの暮らしに役立つ記事を初心者向けにわかりやすくご紹介します。

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