育児休業給付金とは?受給条件や申請方法、受給期間を徹底解説!

最終更新日:2021/09/09

育児休業中は会社からの給与がない場合が多く、家計が不安になる人も多いでしょう。そんな労働者の生活をサポートしてくれる制度に、育児休業給付金があります。そこで本記事では、育児休業給付金の受給条件や、申請方法、受給期間について解説します。

育児休業給付金とは?

育児休業給付金とは原則1歳未満の子どもを養育するために育児休業を取得した際、お金が給付される制度です。働くことができない社員に対し、収入面で不安を抱えず子育てに専念できるよう国から支給されます。ただし、育児休業給付金の受給にはさまざまな条件や期間が定められています。正しく受け取るためにもそれぞれの条件や期間をひとつずつ見ていきましょう。

育児休業給付金ってどんな制度?

育児休業給付金は育児・介護休業法と雇用保険法に基づく制度です。出産後も働く女性が安心して出産・育児ができ、かつ育休中の収入減を助ける目的で設けられています。さらには、性別に関係なく取得することができるため、男性が育児休業を取りやすくする目的も含まれています。

出産手当金との違いは?

出産後に申請できるもうひとつの給付金制度に出産手当金があります。出産手当金は働く女性を対象に産休時の生活を保障するものであるのに対し、育児休業給付金は男女問わず育休中の生活を保障することが目的です。また、育児休業給付金は雇用保険に基づくのに対し、出産手当金は健康保険加入者を対象としています。申請先や申請時期が違うため、間違わないようにしましょう。

育児休業給付金の受給条件

育児休業給付金を受給するためには、原則として下記5つの条件をすべて満たす必要があります。

①1歳未満の子どもがいること
②雇用保険の被保険者であること
③育休前の2年間で11日以上働いた月が12ヶ月以上
④休業前に受け取っていた賃金のうち8割以上が支払われていないこと
⑤育休中の就業日数が各1ヶ月に10日以下

これらに加え、育休は労働者の職場復帰を前提としているため、退職をすることが決まっている場合は給付金を受け取ることができません。一方、上記の条件をすべて満たす場合は、アルバイト・パートといった非正規雇用労働者も含めて給付金を受け取ることができます。
それぞれの条件を詳しく見ていきましょう。

期間前の条件

1歳未満の子どもがいること

満1歳未満の子どもを育てるための育児休業を取得していることです。原則として1歳になる前日までが支給期間です。なお、育児休業は女性だけでなく男性も取得できます。また、保育所の入手困難など、育児休業を延長しなければならない場合は、2歳まで期間の延長が可能です。ただしいずれの場合においても、申請できる期間は1歳未満の子どもがいる間だけであるため、注意しましょう。

雇用保険の被保険者であること

育児休業給付金の支給対象者は「1歳(両親が取得する場合は1歳2か月。保育所に入所できないなどの場合には最長2歳)に満たない子を養育するために育児休業をする雇用保険の被保険者の方」という条件があります。そのため、雇用保険の加入が必要です。1週間の所定労働時間が20時間以上、31日以上の雇用見込みがあることを満たせば、事業所の規模に関係なく、雇用保険の被保険者になります。自営業者や雇用していない経営者、個人事業主などは、雇用保険の被保険者に該当しないため受給資格がありません。

育休前の2年間で11日以上働いた月が12ヶ月以上

「11日以上働く」にあたる日数を賃金支払基礎日数と呼びます。賃金支払基礎日数とは、日給で給料をもらっている場合は各月の出席日数、月給で給料をもらっている場合は各月の暦日数を指します。ただ、この条件を満たさない場合でも、期間中に第一子の育休を取得した場合や申請者本人に疾病があった場合などは支給対象になることがあります。

期間中の条件

休業開始前に受け取っていた賃金のうち8割以上が支払われていない

育児休業給付金を受けるためには、育児休業中に会社から給与が休業前の8割以上支払われていないことが条件です。たとえば、休業前に20万円の給料をもらっていた人が、育休中に会社から16万円以上もらった場合、その月の給付金を受け取ることができません。

育休中の就業日数が各1ヶ月に10日以下

育児休業期間中の就業日数が10日以上の場合は80時間以下(他社で働いていた分も含む)であることも、育児休業給付金の条件です。育児をしながら給付金以外の収入を得てもいいですが、育児休業給付金を受けるためにはこの上限を超えないようにしましょう。

育児休業給付金が支給される期間

育児休業給付金の受給期間は男性と女性によって違います。それぞれいつ、いくら受け取ることができるのかを解説します。

1歳の誕生日前日まで

育児休業給付金は母親と父親で取得開始時期が異なるため、給付期間も異なります。

母親は産後休業期間(産後8週間以内)が終わった後、その翌日から子どもが1歳の誕生日を迎える前日までが給付期間です。

一方、父親は子どもの出生当日から1歳の誕生日を迎える前日までの期間が支給対象です。その他の金額、条件等は男女で変わりありません。また、給付金は夫婦それぞれに支給されます。

育児休業給付金の延長

以下の理由に当てはまる場合、育児休業給付金の支給期間を段階的に1歳から1歳6ヶ月まで、1歳6ヶ月から2歳まで延長できます。その際、1歳の時点で2歳までの延長を一度に請求することはできないので注意してください。

パパ・ママ育休プラス制度

夫婦で育児休業を取得する場合は「パパ・ママ育休プラス制度」を活用すれば、給付期間を1年2ヶ月まで延長できます。
この場合、特別な理由は必要ありません。条件として

1.育児休業開始日が、1歳に達する日の翌日以前である場合
2.育児休業開始日が、配偶者が取得している育児休業期間の初日以後である場合
3.配偶者が当該子の1歳に達する日以前に育児休業を取得していること

上記の3つをすべて満たしている必要があります。
しかし、この制度の申請先は育児休業給付金と同じですが、準備する書類が異なるので注意が必要です。

育児休業給付金を延長するには?

また、以下の場合においても、育児休業給付金の受給期間を延長できます。

①保育所等に保育の実施等を希望し、申し込みを行っているが、その子が1歳に達する日(パパママ育休プラス制度活用により休業終了日が1歳に達する日以降になるならば休業終了日)、または1歳6ヶ月に達する日以降の期間について、当面その実施が行われない場合

②子どもの養育を行う予定だった配偶者が、何らかの理由により養育できなくなった場合

保育所にしばらく入れない場合(待機児童)

育児休業給付金は、子どもが1歳に達する日までを期間とする制度です。しかし、保育所に預けたくても預けられない、いわゆる待機児童といったやむを得ない理由があれば延長が可能です。子どもが1歳に達しても保育所に入れない場合は1歳6ヶ月まで、1歳6ヶ月に達しても入れない場合は2歳まで育児休業期間を延長できます。

(※)ここでの保育所等は、児童福祉法第39条に規定する保育所等をいい、いわゆる無認可保育施設はこれに含まれません。

また、あらかじめ1歳に達する日または1歳6か月に達する日の翌日について保育所等における保育が実施されるように申込みを行っていない場合は該当しません。保育所等による保育の申込み時期等については、市町村に確認してください。

配偶者が養育できない場合

子どもの養育を行う予定であった配偶者が、下記のような理由で養育が困難になった場合も延長できます。

(1) 死亡したとき

(2) 負傷、疾病または身体上・精神上の障害により、養育することが困難な状態になったとき

(3) 婚姻の解消、その他の事情により配偶者が子どもと同居しないこととなったとき

(4)6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定である、または産後8週間を経過しないとき(産前休業を請求できる期間、または産前休業期間及び産後休業期間)

育児休業給付金の計算方法

育児休業給付金は2ヶ月ごとに決められた金額が支給されます。これには上限・下限があるほか、それぞれの金額は受給者によって異なります。自分がいったいどれぐらい受け取ることができるのかを計算してみましょう。

計算式

1ヶ月の給付金は以下の計算方法によって算出されます。

  • 育児休業開始から180日:
    [休業開始時賃金日額×支給日数(通常は30日)]×67%
  • 育児休業開始から181日目以降:
    [休業開始時賃金日額×支給日数(通常は30日)]×50%

また、休業開始賃金日額とは育児休業を開始する前6ヵ月間の賃金を180で割った金額です。ここでの賃金とは残業手当や通勤手当、住宅手当などを含む金額です。

上限と下限

育児休業給付金の支給には上限・下限があります。育児休業給付金と賃金月額の支給限度額は毎年8月1日に見直されています。2021年6月現在は以下の通りです。

<賃金月額>
上限額:45万6,300円
下限額:7万7,220円

<支給限度額>
育児休業開始から180日(67%):30万5,721円(※)
育児休業開始から181日目以降(50%):22万8,150円(※)

※2020年8月1日(土)に見直された支給限度額。

支給金額を超えている場合は一律限度額までの支給となります。たとえば、休業開始前6ヶ月で300万円の賃金を得ていた場合、休業開始賃金日額は1万6,667円になり、育児休業開始180日間は1万6,667円×30×0.67=33万5,007円になります。しかし、上限を超えるため、支給額は30万5,721円になります。

育児休業給付金の申請方法

育児休業給付金の申請は原則として雇用主である会社を経由します。会社がハローワークに必要書類を提出し、受給資格手続きを行います。申請者本人が手続きをすることも可能ですが、その場合も賃金の証明を確認するために会社に依頼する必要があるので、会社を通して申請したほうが手間がかかりません。

必要な書類

育児休業給付金を申し込むために必要な書類は、以下の通りです。申請者・会社それぞれに用意するものがあるので、一つひとつ確認しましょう。

労働者側

  • 育児を行っている事実が確認できる書類(母子健康手帳など)の写し
  • マイナンバーカード、もしくはマイナンバーカードの通知書と本人確認書類(運転免許証など)の写し
  • 給付金を受け取る用の口座の通帳の写し

事業者側

  • 育児休業給付金支給申請書
  • 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
  • (雇用保険被保険者)休業開始時賃金月額証明書
  • 支給申請書の内容が確認できる書類(賃金台帳、出勤簿など)

申請の流れ

会社を通して育児休業給付金を申請する方法は以下の通りです。個人で直接ハローワークの申請する場合もほとんど同じ流れのため、書類の入手先・申請先を確認しておきましょう。

  1. 育児休業予定の労働者が事業主に育児休業の申し出
  2. 事業主が管轄のハローワークに書類申請
  3. 育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書を労働者が記入、母子健康手帳、受取口座の通帳の写しを合わせて事業主に提出
  4. 育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書・休業開始時賃金月額証明書と添付書類として賃金台帳または出勤簿、母子健康・受取口座の通帳の写しをすべて、管轄のハローワークに提出

申請時の注意点

育児休業給付金を申請する際は、以下の点に注意しましょう。

育休の申し出の期限は休業開始日の1ヶ月前までのため、育休を早めに申請する

・申請の際にはマイナンバーが必須
・申し込み期限は育休開始日から4ヶ月経過後の月末まで
・育児休業給付金は2ヶ月ごとに2ヶ月分をまとめて申請(基本的に会社が手続きを代行するが、その際にはハローワークから会社を通じて郵送される「次回申請書」に署名・捺印・書類の準備等が必要)
・2回目以降の申請期限はハローワークから会社を通じて交付される通知書に記載されているので注意

延長の申請方法

育児休業給付金は、原則1歳の誕生日を迎える前日までが対象期間ですが、前述の通り、やむを得ない場合は最大2歳まで延長することが可能です。延長しなければならなくなった場合、初回申請先と同じハローワークに申請します。申請期日は育児休業終了日(1歳の誕生日前日)の2週間前まで。勤務先で用意された「育児休業申出書」などの書面で申請します。会社は「育児休業申出書」をもとに「(育児・介護)休業取扱通知書」を作成し、ハローワークに提出します。その際「育児休業給付金支給申請書」と「延長の必要性が証明できる書類」も合わせて提出しなければなりません。

育児休業給付金において注意すべき点

育児休業給付金を受給するにあたっていくつかの注意すべき点があります。給付を適切に受け取ることができるように、事前に確認しておきましょう。

・育休取得前から退職予定なら給付金は受けられない
育児休業給付金は原則として職場復帰を前提に設けられた制度です。そのため、育児休業の取得時に退職が決まっている場合は支給対象外です。ただし、期間中に退職が決まった場合は、退職日を含んだ支給単位の一つ前の単位まで受給可能です。それ以降は受け取ることができません。

・育休中に就労した場合、その賃金に応じて対応が異なる
育児休業中に就労した場合は、支払われる賃金において、支給金額が変わります。支払われた賃金が休業開始時賃金月額の13%以下の場合は、支払われていない場合と同様の育児休業給付金が支払われます。賃金月額が13%超え〜80%未満の場合は、貸金月額と実際に支払われた賃金との差額が支払われます。貸金月額80%以上の場合は、育児休業給付金は支払われません。

・育児休業中は社会保険料が免除されます。なお育児休業とは休業開始日を含む月から休業終了日の翌日を含む前月までです。また免除とはいっても、将来の年金にも影響しないので安心してください。

まとめ

育児休業給付金は育休中も安心して子育てができるよう金銭面からサポートする制度です。しかし、女性だけでなく男性も育児休業をとり、給付金を受け取ることができる事実は、まだあまり知られていません。夫婦で別々に取得すれば期間が延長できる上、協力して育児ができます。育児休業や給付金の仕組みをしっかりと理解し、うまく活用して育児に役立てましょう。

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